一般社団法人日本脳卒中学会「smart FORCE」カスタマイズおよび「smart QUTE 2」ご利用事例
インターネットによるCBT試験を専門認定医試験で実現!
日本初の試み
一般社団法人日本脳卒中学会では、過渡的認定脳卒中専門医の試験を実施しています。
その試験を実施するためのシステムとして、smart FORCEを導入、試験コンテンツとしてsmart QUTE 2を使用しました。
- ここがポイント
-
- smart FORCE(カスタマイズ仕様)を使用して、試験教材を管理しています。
- テスト教材作成ツールsmart QUTE 2(カスタマイズ仕様)を使用して、過渡的認定脳卒中専門医の試験を作成しています。
- カスタマイズを行うことで、お客さまのニーズにマッチした、より品質が高い教材を作成できます。
導入事例インタビュー
1. 背景(なぜインターネットCBT(Computer Based Test)だったのか)

2年以上前から過渡的認定専門医の試験の実施手段として、インターネットCBT試験の採用が検討されてきました。
過渡的認定専門医の試験に合格することが、将来脳卒中専門医の広告が可能になった際に、広告できる条件となります。
当時、専門医の3分の2を占めていた過渡的認定専門医は全国に2,000名以上在籍しており、その多忙を極める先生方を一箇所に集め試験を行う事は容易な事ではありませんでした。
そこで、インターネットによるCBTシステムを用い、全国の各大学医学部のCBT施設を借りて、分散型の一斉試験を行うことを計画しました。
2. SATTに依頼した理由
米国式3段階国家試験を目指して試行されているCBTは、医学部4年次で必ず実施されますが、実はこれはCDで問題が配付され、外部とは遮断された限られた空間で実施されるものですので、インターネット経由で全国一斉に実施しているものではありません。
それが分かる前にCBTを担当する団体に相談したところ、『国家試験に準ずる重要な試験のために作ったシステムなので脳卒中学会での使用は許可できない』ということで悩んでいました。
もしかしたらインターネットでの試験であれば、eラーニングの仕組みを利用して実現できるのではないかと考え、eラーニングの専門会社で定評のあったエスエイティーティーに相談したところ「できると思います。」の一言から、日本初のインターネットCBT試験が実現化されました。
法人名 | 一般社団法人日本脳卒中学会 | ![]() |
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ホームページ | http://www.jsts.gr.jp/ | |
事業内容 | 脳卒中ならびにその関連疾患に関する基礎的および臨床的研究の奨励行い、その進歩発展を図ることを目的とし、その目的を達成するための事業を推進する。 |
3. 試験イメージ

受験者は、初めに受験番号を入力しログインすると、すぐに試験問題画面が表示されます。
説明事項を読みサンプルを実施した後、時間になりましたら一斉に試験が開始されます。
smart FORCEのログイン画面から、会員番号でログインします。
解答方法は、一般的なCBT試験とほぼ同じです。
マウスクリックによる選択肢問題や、付箋をつけて見直しができるところは、マークシートよりも便利です。
出題は、ストックされた中からカテゴリー別にランダムに出題されるため、隣の人と異なる問題を解く事になります。
今回は試験委員もみな過渡的認定専門医のため、試験委員も受験するという事もあり、公平性が重要視されました。
試験コンテンツはsmart QUTE 2を試験用にカスタマイズしました。
試験システム | smart FORCEを試験用にカスタマイズを実施 |
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試験コンテンツ | smart QUTE 2を試験用にカスタマイズを実施 |
4. 苦労したところ(SATTから)
2011年から今年で3回目となる試験ですが、初回は、全国23箇所(関西15箇所、関東8箇所)、1,600名弱の受験者がインターネットCBT試験を受けました。
試験システムの構築や試験問題の制作は、特に難しい内容ではありませんでした。
課題は、ネットワークの分散、サーバーの負荷対策、見えない先の試験環境の安定性でした。
特に大学によってPC環境が大きく異なるため、1,600名の同時アクセスの対策、本番を想定したシミュレーションと負荷テスト等の実施に苦労しました。
5. これからの資格試験
学会で提供するような資格試験においては、やはり集合し、一斉に試験を実施する形態は、現在のマークシート方式と変わらないと思います。
しかし、試験問題や解答用紙の準備、解答後のマークシートの読み取りなど、アナログで行っていたものはデジタル化され、コストの削減の方向に進むでしょう。
また、同じコンピューターを使う試験のCBTと異なるところは、離れた複数の試験場の情報をサーバーで一元管理し、受験者のデータをリアルタイムで監視、集計を行う事ができることは代え難い利点となると思われます。
これからは、eラーニングの普及と合わせてこの様なインターネットCBT試験も増加していく事でしょう。
6. 最後に小林先生のお言葉
SATTについて

日本脳卒中学会
専門医試験委員長(~2013)
小林 祥泰 さま
SATTは、IT通信が専門の、島根大学病院医療情報部 花田准教授に、『インターネットによるCBTが出来る会社はないか』と相談して、紹介して貰いました。
早速、SATTにインターネットを使って、全国20大学で一斉にCBT試験が出来るかどうか聞いてみました。
そうしたらすぐに『出来ます。しかし、まだ実際にやったことはありません』という返事でした。
早速、SATTの会社に行って具体的な相談をしました。
この頃はまだ半信半疑でしたが、担当者が大変前向きでチャレンジ精神を持っていたので、これなら大丈夫だろうと、脳卒中専門医認定員会で説明して貰って、具体的に始動しました。
今回の過渡的専門医認定CBT試験について
今回、医学部でやっているCBTがインターネットではなく、CDで配布されたものを使っていることを初めて知りました。安全第一で時代遅れでした。
そこでSATTのeラーニングシステムを使うことにしたのですが、苦労したのはまず、試験場の大学のパソコン研修室確保でした。
試験委員や評議員に依頼して、全国20以上の大学で引き受けて貰うことになったのですが、なんと『CBTの時だけPCレンタルするので参加出来ない』という大学が数大学もあったのには驚きました。
幸い島根大学医学部は、全国最先端の設備とスタッフで、実験をスムーズに行うことが出来ました。
第1回の試験の前にストレステストも行い、万全を期したのですが、なんせ受験者はベテランの指導医ばかりですので、プライドをかけて猛勉強をして試験に臨まれ、始まった途端に猛烈な勢いで解答を打ち込み始めました。
そのスピードたるや、コンピュータの一般入試などのシミュレーションをはるかに越えたもので、ついに受験者の多い東日本サーバーがダウンしてしまいました。
幸い30分で復旧し事なきを得ましたが、西日本サーバーで受験していた私も、電話を聞いて冷や汗が出ました。
終わって採点結果を見て、あまりに成績が良いので、またたまげました。
決して易しくない問題ですので、いかに指導医の皆さんが猛勉強されたか、よく分かりました。
2年目の2回目は4大学で実施、今年の3回目はSATTの研修室を借りて実施し、希望者全員のCBTを無事終えることが出来ました。
準備は大変でしたが受験者の都合を考えると、インターネットによるCBTはこれからの試験方法として普及していくと思います。
WBTとインターネットCBT は同義として扱っています。ここでは、今回取り上げた事例の試験をインターネットCBT試験と呼んでいましたので、その名称として使用しております。
事例で使用した教材制作ツール
smart QUTE 2(スマートキュート2)は、画像や動画ファイルを組み合わせて、クイズ形式のeラーニング教材を簡単に作成できるツールです。
パソコンだけでなく、スマートフォンやタブレットなどのモバイル端末に対応した教材も作成できます。
編集は使い慣れたMicrosoft Excelを利用して行いますので、誰でも簡単に教材を制作・更新できます。
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